Hong Kong Customs displays 82.5kg of rhino horns from South Africa and destined for Malaysia. Photo: ISD

偽上の住宅: 日本の新築住宅の犠牲になる欧州の原生林

ワシントンD.C. – 日本の大手商社がヨーロッパに残る最後の広大な原生林での違法伐採に拍車をかけていることがワシントンD.C.を本拠地とする環境調査エージェンシー(EIA)の新しい報告書で明らかになった。「偽上の住宅:日本の新築住宅の犠牲になる欧州の原生林/Built on Lies: New Homes in Japan Destroy Old Forests in Europe」と題する報告書では、オーストリア企業シュバイクホファー社(Holzindustrie Schweighofer)のルーマニア国内の製材所からの輸出の50%近くが主に住宅用建材として日本向けに出荷されており、2015年には合計200億円(1億6500万米ドル)に相当したことを示す、新たに入手された貿易データを公開している。EIAが2015年10月に発表した報告書「Stealing the Last Forest」で詳述したように、シュバイクホファー社の調達は、長年にわたり、ルーマニアにおける違法伐採の誘引となってきた。

違法伐採が広範囲にわたる問題であることは、10年以上前からルーマニアのメディア、政府および市民社会によって広く認められてきた。ルーマニア政府は同国で伐採される木材の半分近くが違法に伐られていると推定しており、2016年1月にルーマニアの大統領は、違法伐採が国家安全保障上の脅威であると公式に宣言した。ルーマニアの木材市場に参入して僅か十年後の2013年にシュバイクホファー社は同国で最も多くの丸太を購入する企業となり、同国のオウシュウトウヒの全伐採量の40%近くを調達するようになった。

「この新しい証拠資料は、日本のバイヤーが欧州の最も手付かずの原生林での違法な森林減少に大きな影響を及ぼしていることを示している」とEIA事務局長のアレクサンダー・フォン・ビスマルク(Alexander von Bismarck)氏は語る。

シュバイクホファー社がルーマニアの森林部門で市場シェアを伸ばし、独占的な支配力を持つようになったことが衆目の的になると、同社は隣国ウクライナからの丸太調達の割合を増やすようになったが、同国は欧州で最も汚職が蔓延し、直近では隣国ロシアとの本格的な武力紛争に苦しんでいる。2015年にシュバイクホファー社はウクライナからオウシュウトウヒ(ホワイトウッド)とオウシュウアカマツ(レッドウッド)の丸太を合わせて100万立米近く輸入し、それが同社のルーマニアの製材所で使われる木材の33%を占めるようになった。このウクライナ材も多くは日本市場向けである。

EIAの2015年の報告書では、幾つかのケーススタディーで、シュバイクホファー社が違法伐採木材を調達した具体例について詳述し、ルーマニアの森林、国立公園、住民に対する影響について説明した。EIAが隠し撮りしたビデオで、シュバイクホファー社の調達責任者が二つの別々の会議で、違法に伐採された木材を、そうであると知りつつ積極的に受け入れ、報奨制度により更なる伐採を奨励する様子が捉えられた。

2015年にルーマニア環境省が実施した調査でシュバイクホファー社の1つの製材所だけでも10万立米以上の違法木材に関する資料が見つかり、同社の職員が違法木材を入手する目的で組織犯罪ネットワークに関与していた証拠が発覚した。この調査は、組織犯罪を管轄する中央政府の検察当局に引き継がれ、現在も続いている。2016年6月には、別の事件で偽造書類と贈賄により正当な所有者から広大な森林を盗んだことで有罪となった2人のビジネスマンに対する有罪判決がルーマニアの控訴審により支持された。その裁判の資料から、この盗難事件が起こる6ヶ月前にシュバイクホファー社の役員がこのビジネスマンたちと行った取引で、この森林の1000ヘクタールを同社が直接購入し、盗まれた土地の他のところから少なくとも2万2千立米の木材を購入していたことが判明した。

シュバイクホファー社への森林管理協議会(FSC)による最新の加工・流通(CoC)認証発行の責任を負うQuality Austria社は、シュバイクホファー社への認証発行における規則違反に関して苦情申し立てが行われた後、2016年6月3日から新しいFSC認証発行を行うことを禁じられた。それとは別に、違法伐採の「重大な嫌疑」にまつわるFSCの「組織とFSCとの関係に関する指針(Policy of Association)」に違反に関するシュバイクホファー社の調査も現在FSCによって実施されている

EIAの新しい報告書は、日本の企業や顧客がルーマニアでの違法伐採に拍車をかける大きな役割に焦点を当てている。日本とヨーロッパへの高リスク木材の大量輸出は、日本とヨーロッパの企業が違法伐採リスクの高い地域から木材を調達する際、しっかりしたデュー・ディリジェンスを行う必要があることを示している。今回の報告書では、シュバイクホファー社から木材製品を購入する日本企業、上位十社の名前を挙げている:1)阪和興業、2)住友林業、3)ラムセル(銘建工業)、4)伊藤忠建材、5)双日建材、6)ジャパン建材、7)丸紅建材、8)ナイス、9)篠原商店、10)吉銘。

この事例は、日本の自主的な違法木材輸入対策が違法調達木材製品の大規模な国際貿易に対処するには不十分であることをさらに裏付けている。ルーマニアから日本への違法木材の輸出は、輸入木材製品の合法な調達を積極的に保証することを全ての企業に義務付けるために日本政府が行動を取る必要があること示している。

EIAはシュバイクホファー社に対して木材の供給元の伐採許可区域のデータを公開するよう要求している。ルーマニアの法律では、この情報は森から木材が運ばれる際にすでに提供されていることになっている。

「シュバイクホファー社は、長年にわたり、同社のシステムにより違法木材が排除されていることを顧客に対して保証してきた。今や、これが真実でないことが多くの情報源によって証明されている」とフォン・ビスマルク(von Bismarck)氏は語る。「今日も同社は木材がどこから来たのかについて公表することを拒んでいる。本当に合法なら、なぜ、由来を隠すのか。」

お問い合わせ先:

Lindsay Moran, EIAプレス担当, [email protected]